佐田岬半島をテーマパーク化したい!地元産の素材にこだわったお菓子作りを続けている田村義孝さんが一歩を踏み出した原点とは。

「お菓子を通して 笑顔づくり 地域づくり 絆づくり」を経営理念として、愛媛県西宇和郡伊方町に位置する佐田岬半島の二名津(ふたなづ)の地で地元産の素材にこだわった和菓子や洋菓子を作り続けている、田村義孝(たむらよしたか)さん。

先代の頃から受け継がれる「うにまんじゅう」をはじめとするロングセラー商品を守りつつ、愛媛県立三崎高校(西宇和郡伊方町)の学生たちと地域おこし協力隊とともに「みっちゃん大福」やその進化形「八寿(やじゅ)みかん大福」などの新しい商品も開発するなど、積極的に変化を取り入れつづけている。

新たな挑戦も辞さないその姿勢は何を原点として、またどのような経験を経て一歩を踏み出したのだろうか。また、そんな田村さんが掲げる、「佐田岬をテーマパークのようにしたい」という夢はどんなものなのだろうか。

今回は「田村菓子舗」の3代目店主、田村義孝さん自身のことを伺った。

「田村菓子舗」は71年前に創業され、田村さんは3代目として着任。地元の愛媛県立三崎高等学校を卒業後、松山大学経済学部経済学科、愛媛調理製菓専門学校を卒業。その後、愛媛県内の洋菓子店で就業後、伊方町に戻り田村菓子舗の三代目店主に着任した。

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いずれ、自分が地域を支えたい

私は生まれも育ちも佐田岬半島、二名津です。田舎が大好きで、地域に育ててもらったのでいずれは地域に貢献したい、という強い思いをもって育ちました。一方で、多くの若者にとって生まれ育った田舎では自分がやりたい仕事がなく、働く場所も少ない(限られる)ため、都会へ出て行ってしまうという現状に課題を感じていました。そのため、自分が大きくなって、いずれは地域を支えたいという思いを持って、大学へ進学を決めました。

地域に育ててもらった、というのはとても温かい言葉ですね。その思いは、やはり田村さんが佐田岬で、持続可能な循環型社会の構築を目指す原点なのでしょうか?

もちろん、大きく影響されていると思います。
私は自宅で薪ストーブを使用しているのですが、要らなくなった木を回収して、自分で薪を作っているんです。

周りにあるものを見つめ直して、価値ある形に変えていくこと、必要としている人に形を変えて届けていくことが大事なんじゃないかと思っていて。

そういった何かが、循環していくような仕組みを構築することが、物に対してだけではなく、地方が抱えるあらゆる問題にも通じるのではないかと思っていて。

教育においても、地域のことをもっと学べるような機会作り出すことや、地域を大事に思えるような人材を育てていくことが必要なのではないかと考えています。
例えば、「みっちゃん大福」は地元の三崎高校の高校生たちと一緒に生み出したんです。
地域にあるものを生かすことと教育をかけあわせることで、「郷土愛」を育んでいく。
そうすることで地域に対しての理解を深めたり、人材育成に繋がったりするのではないかと思っています。

あとは、10代のうちに「ものさし」はたくさんあった方が良いですからね。そういった面から、私は「人の繋がり」を生み出すことを意識しています。人と人を繋ぐことで、見える世界が広がっていくのだと、30代後半から強く意識するようになりました。

人がいるから地域は存続していくので、そういったように循環していくような仕組みを作り出していければと思っています。

佐田岬全体をテーマパーク化する

では、佐田岬全体をテーマパーク化するとはどういったことなのでしょうか?

私は佐田岬においては、「体験を通して誰かの休息が取れる場所」であればいいなと思っていて。
実際に、都会に疲弊して流れるようにこの佐田岬へやってくる人は多いんです。
山に囲まれた穏やかな土地ですし、海も近いので、潮風が気持ちいい。

加えて海や山の幸も豊富なので、ちょうどいい場所だと思っていて。実際にここで暮らす人々の農業や漁業を体験することで、普段の生活では見えていなかった生産業の部分を実感できるような、そして癒しや人生の息抜きになれるような、体験型の「テーマパーク」のような場所にしたいと思っています。

その土地全体がテーマパークのような場所、面白い発想だと思います。そもそもなのですが、田村さんが一歩を踏み出した経験は何だったのでしょうか?

私は中学生の時のクラブ活動で「郷土クラブ」といったものに入っていて、そのクラブ活動の一環で、自分の住んでいる地域の魅力を伝えるコンテストが県内で開催されたんです。その大会に向けて、地域の人にヒアリングを徹底的に行った結果、見事に優勝することができました。この時の小さな成功体験と「地域を掘り下げてだれかに伝えていく」ことが原点となって、今の価値観にも大きく影響を受けているのだと思います。

10代の頃の体験が原点なのですね。きっかけは何かあったのでしょうか?

あまり考えたことがなかったのですが、私は一度始めたことを途中でやめてしまうのが嫌なんですよね。なので、自分の中で区切りがつくまでは、やり切りたいと思っています。

あとは、やってきたことに仕組みができて、そこで生まれた繋がりを継続していくこと。点と点が繋がって、線になって新たに「学び」が生まれることがとても楽しいなと思います。楽しいから続けられるんだろうなとも思っています。そういった面では常に問題意識を持って生きているのではないかと思いますね。

また、私はそれぞれの地域にいいものはあるのだと思っていて。実際に地域の歴史を辿っていけば、私たちが知らないことなんて山のようにあるんですよね。それらを丁寧に紐解いて、まずは「知ること」からはじめることで今ある産業や資源を生かすことにつながると思うんです。

地方の課題として私が感じていた「仕事がない」ということも、働く場所がないのではなく若い人が求める仕事とあっていないことや魅力や特性を生かしきれていないだけなのではないかと思っています。なので、知ってもらうための「きっかけ」を生み出していければと思います。

他人との接点を増やすことで選択肢も増えていく

ありがとうございます。一歩踏み出したくても難しさを感じている人は多いと思うのですが、どうすれば踏み出すことができるのでしょうか。

そもそも、やりたいことがまだ見つかっていない人って多いと思うんです。そういった人たちは何かの組織やコミュニティに所属することが大事だと思っていて。人と触れ合うことで自分の世界や視野もどんどん広がっていくと思うんです。そのために、色々なところへ行って接点を増やすことは、選択肢が増えることにもつながると思います。

あとは、どれだけ世界に向けて心を開くことができるかということも、大事だと思っています。心を開くことできっと見えてくるものも変わってくるはずです。

まずはコミュニティに所属してみる。そして小さな一歩を積み重ねることで世界が広がっていくのですね。では最後に、今後どうなっていきたいか、今後の展望を教えてください!

佐田岬をテーマパーク化するために、まずは訪れた人たちが様々な体験や人とのつながりを通して癒されるような場所であること、そして大人も子供も関係なく、何かを学ぶ場になればと思います。そして何より、一度訪れた人も、地元を離れいていった人たちにとっても、「戻ってきたい」と思える場になっていけばいいなと思っています。

田村さんの販売しているうにまんじゅうについてはこちら

risa / Writer
maku / Photographer

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